2012年6月16日土曜日

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平成24年06月16日(土) 教育史


教育史 [編集]

教育制度改革 [編集]

昭和末期から平成初期に、偏差値重視の教育制度の改革が進められ、臨時教育審議会の提言で文部科学省は新学力観を導入し、その考えが元となる学習指導要領が1989年(平成元年)に改訂、1992年(平成4年度)から施行された。その後、中央教育審議会の提言で生きる力の育成という目的が導入され、その目標に基づく学習指導要領が1998年(平成10年)に改訂、2002年(平成14年度)から正式に施行された。この指導要領によって総合的な学習の時間を設置、授業時間数の削減、教育内容の減少となった。しかし、PISAの順位が落ちたことから、学力低下を引き起こしていると批判を受け、生きる力の育成という目標は堅持しつつも、授業時間の増加、教育内容の増加が盛り込まれた学習指導要領が2008年(平成20年)に改訂、2011年(平成23年度)以降から正式に施行された。
教育改革として、新設された高校として、総合制高校、単位制高校、国際高校、公立高校中高一貫教育をする中等教育学校タイプと併設型中等教育学校タイプと連携型中等一貫校タイプの中高一貫校福祉高等学校を設置した。新設教科として、中学高校課程の地理歴史科の新設、小学校低学年の生活科の新設、小中高教育での学校設定教科福祉科を新設した。必修化や義務化として、高校での世界史の必修化、男女共同参画社会を目指す男女平等政策として中学・高校での家庭科の男子必修化が行われた。出席名簿も男女が混ざったものに変わった。教育の規制緩和として、社会奉仕体験活動、大学の飛び入学週休2日制を導入した。
教育制度改革の計画として、優秀な高校生を早期に大学進学をさせて専門分野を専攻できるようにすることで、国際社会で活躍できる人材の育成を狙う文部科学省2012年(平成24年)6月1日に、高等学校を2年間で卒業して大学に入学できる制度を創設する方針を決定した。国家戦略会議平野博文文部科学大臣が取り組む。

学力問題 [編集]

1990年代から学力低下が懸念されて、1999年(平成11年)には「分数が出来ない大学生」が出版された[8]。さらに2003年(平成15年)のPISATIMSS2006年(平成18年)のPISAでは学力低下が顕著となった。その後、2003年(平成15年)には教育内容の上限規定が撤廃された。2007年(平成19年)には全員参加方式の全国学力・学習状況調査テストが復活して、さらに脱ゆとりへと路線が変更されて、2008年(平成20年)には指導要領が改正されて、移行措置として一部が2009年(平成21年)から実施されて、小学校では全面的に2011年(平成23年度)から実施されることとなった。2007年(平成19年)のTIMSSでは、学力低下が止まり、2009年(平成21年)のPISAでは、学力が回復した。

学校制度改革 [編集]

2003年(平成15年)に国立大学法人法が制定されて、国立大学国立大学法人となった。教員の相次ぐ性犯罪や、偏った思想に基づいた教育や言動などが問題となり、資質向上のための教育改革として、教職大学院の創設と検討されたのは教員免許更新制である。これに伴って日本の教育問題として、親の学歴・収入・家柄・職業などの経済格差と都道府県別や市町村別の地域格差を背景とした能力格差の拡大が表面化している。この原因は公教育機能が低下しているためと言われ、公教育への不信感が増大している。それを補うため、東京都を中心に公立学校選択制の導入や公立学校以外の学習塾私立学校へ進学希望者が増加している。私立学校と教育を重視する地域などの一部学校や、文部科学省の方針で教育予算が増加されて低学年で実施されたのが、少人数授業少人数教育を目的に「35人学級」や「30人学級」で、きめ細かい指導を導入する教育改革がされた。

教育行政と新設教科 [編集]

2001年(平成13年)1月6日中央省庁再編により文部省を改組して、科学技術庁を吸収合併して廃止する形式で文部省と科学技術庁が統合されて、文部科学省が設置される。2003年(平成15年度)から情報科が新設されて、高等学校の必修教科となる。2011年(平成23年度)から小学校で、外国語活動の時間が設けられて、2012年(平成24年度)から中等教育で、安全性の問題が議論されている武道科(剣道科・柔道科・相撲科)の3種目と指導方法の向上が必要であるダンス科(創作ダンス・フォークダンス・現代的なリズムのダンス)が導入されて、3 種目から選択して必修化されるようになった。2012年(平成24年度)から、1972年(昭和47年)に終了した放射線教育が約30年ぶりに中学校理科で復活する事になった。

成績評価 [編集]

2000年(平成12年)から小学校と中学校の義務教育の課程で相対評価から絶対評価による教育評価成績評価が重視をされるようになった。重視されるようになった絶対評価には認定評価の他に到達度評価があり、到達度評価の1つである観点別学習状況による教育評価と成績評価が導入をされた。

修身教育の見直しと道徳教育重視 [編集]

自由民主党修身教育復活や道徳教育重視を唱える愛国心儒教道徳の育成を目指す保守派議員の意向で文部科学省2002年(平成12年)4月に、全国の小学校・中学校に道徳の副教材の心のノートを無料配布した。民主党政権の事業仕分けによって教材作成の補助が廃止された。

私立中学受験 [編集]

2007年(平成19年)に首都圏では格差社会の進行やゆとり教育の影響で学歴社会負け組となる公立中学校を敬遠するようになり私立中学校の受験者数はピークとなり中学受験バブルがおきたが、翌年には私立中学受験バブルは崩壊した。2008年(平成20年)のリーマンショック以降の景気低迷、公立学校における脱ゆとり教育への転換、さらには東日本大震災などの影響で、私立中学受験者数の減少は続いており、受験者数の減少に歯止めがかかっていない。私立中学校の募集定員は3万9721人から4万1688人と約5%も増加して、私立中学受験ブームを受けての定員数の増加や、中高一貫体制強化による付設高校の募集定員の縮小と廃止が行われた。

教育と社会問題 [編集]

精神科医の和田秀樹の著書として執筆された「テレビの大罪」の内容であるが、いじめ自殺とマスコミとの因果関係の記述で、自殺ガイドラインを設けないマスコミによって、1994年(平成6年)前後の時期に愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件を中心とするいじめ自殺報道があり、2006年(平成18年)前後の時期に福岡中2いじめ自殺事件を中心とするいじめによる自殺が繰り返し報じられ、心理的影響を受けた事によって自殺やいじめが増加して問題となる。不登校問題やフリースクールの試みが行われた。学校を卒業しても社会に参加しないニート引きこもりに陥る者が多く現れ、メディアで盛んに報道され、問題視されるようになった。これは、学校と実社会の間にギャップがあるという日本独特の問題が潜んでいるとされる。余りに学校社会に慣れた子供は、卒業しても社会に適応することが困難になると言われる。現在の引きこもりは1970年代生まれ(氷河期世代の初期と中期)の人々が最も多く(後の世代では引きこもりは減少傾向)、引きこもりの長期化・高齢化が深刻になっている。また、ニートだと定義されていない35歳以上の中年の無業者も問題になっている[9]
1990年代後半あたりからパソコンや携帯電話が、2010年代前半あたりからスマートフォンが学生の間でも普及しだした。2002年(平成14年)には、小学1年生で5.0%、中学1年生で32.3%だったのに対し、2007年(平成19年)には、小学生1年生で11.7%、中学1年生で62.0%と2000年代に入ってからは小中学生の間でも普及しだした[10]。また、2000年代後半になると、10代のパソコン離れが起き、携帯の使用率が上がっている[11]。これらの世代はパソコン、携帯電話などを使ってネットによる情報発信能力を身につけたにもかかわらず、情報リテラシーやマナー教育が追いつかなかったため、ネットいじめが社会問題になった。末期氷河期世代は「キレる17歳」「コギャル世代」「酒鬼薔薇世代」とも呼ばれ、さらには酒鬼薔薇事件西鉄バスジャック事件秋葉原通り魔事件などの犯罪や、援助交際や、新成人の成人式の騒ぎが問題となった。その一方で、それらの問題が、若者に対するステレオタイプだとして、俗流若者論という概念も生まれた。東日本大震災の影響で子供の心的外傷後ストレス障害(PTSD)が増加したり、被災地岩手県宮城県福島県の子供の転校が急増する。
少子化の進展で大学全入時代を迎えて、21世紀には大学倒産時代となり、ブランド大学以外の地方大学や私立大学は定員割れで経営危機に立たされている。私立大学・私立短大の中には、統廃合によって学生募集を停止して廃校になる学校が増加した。親の収入と学歴の高低が子供の学歴の高低に直結する「格差の遺伝」とも言われる現象が広く知られるようになった。一方で、逆に高い学歴を持ちながら生活に苦しむ学歴難民と呼ばれる層も氷河期世代から発生している。女子の高学歴化や進学率の増加、厳しい経済状況を背景にした難関志向もあり、難関大学の難易度は、依然高い水準にある。進学率が増加する一方で、BFランク大学の名前を書くだけで受かる入試、ユニーク入試一芸入試など学力にとらわれない入試も増加している。

教育思想 [編集]

平成期の教育思想は大きく区分して2種類ある。第1の教育思想はジェローム・ブルーナーの教育理論を支持する和田秀樹学歴社会受験競争偏差値教育を第一として詰め込み教育を肯定する思想。第2の教育思想はジョン・デューイの教育理論を支持する寺脇研の公立学校での詰め込み教育を排除した教育改革として20世紀アメリカ合衆国新教育運動大正時代大正自由教育運動を模範とするゆとり教育という思想などがある。
小渕内閣教育改革国民会議による教育を変える17の提案の発表や安倍内閣教育再生会議福田康夫内閣教育再生懇談会が設置されて、(1)学校教育法の改正の実施。(2)地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正の実施。(3)社会教育法の改正が実施されるなど『教育改革3法案』が成立した。新保守主義による国旗国歌法教育基本法の改正などの愛国心を謳った教育が主張された。2001年(平成13年)に、新しい歴史教科書をつくる会が既存の社会科の教科書を左翼自虐史観であると称して、それら左翼的自虐史観の教科書に反対する保守勢力が地理歴史科教科書公民科教科書を執筆したが、中華人民共和国大韓民国朝日新聞などの左翼勢力の反対で教科用図書検定が妨害される歴史教科書問題が再びおきた。その後、日中歴史共同研究日韓歴史共同研究なども模索された。

社会と大学教育 [編集]

財界大企業では東京証券取引所上場企業の社長数1位が、昭和時代の東京大学出身者から慶應義塾大学出身者の三田閥となり、政界でも平成での出身大学別総理大臣で一番多いのは、6人を輩出した早稲田大学であるなど、東京大学学閥は早稲田大学・慶應義塾大学の躍進で政界・財界のトップではなくなり、平成期に学歴的地位が低下した。
夜間と通信制の高校、大学、大学院で社会人と高齢者を対象に生涯学習社会になり、情報化社会や知識社会の到来で子どもと青年期以外の全ての世代が教育対象になる。
大学での女子学生へのセクシャルハラスメントの問題やアカデミックハラスメントが問題となる。貧困層の増加で大学進学が容易でない家庭や奨学金の返済がされない問題が発生をした。21世紀になり東京大学などで日本の大学で主流である従来の4月入学を全廃して、海外で主流である秋入学への全面移行をする教育改革が進んでいる。国際的な大学間の競争に対応して、学生の海外留学を促すことが理由である。大学生活の期間にボランティアなどの社会奉仕や徴農制の導入を推進する事も検討されている。
平成期になり日本政府の留学生受け入れ増加計画で中華人民共和国などアジアからの留学生が急増する。その反面、日本からの海外留学生数は団塊ジュニア世代が大学生だった1990年代がピークだった。2000年代ゆとり世代が大学生となりアメリカの大学や欧米諸国を中心に海外に留学する日本の若者が減少した。2012年(平成24年)に文部科学省は世界の大学が採用する共通の大学入学資格取得に必要な教育課程の国際バカロレア資格の国内認定校の拡大のために200高校に留学支援課程を設置する計画を立案した。
平成期は大学進学率と大学院進学率が急上昇した。大学進学率1989年(平成元年)の24.7%から2010年(平成22年)には50.2%となった。進学者は、約40万人から約60万人にまで増加した。短大進学者が4年制大学にシフトして短大進学率は1994年(平成6年)の13.2%をピークに減少して2010年(平成22年)には6%となった。修士課程の大学院進学率は急上昇して17%となり、2003年(平成15年度)に、専門職大学院の制度が作られ、法科大学院などが作られた。それに伴い、教育改革として学部をおくことなく大学院をおく大学(いわゆる大学院大学)の数も増加した。特に、大学への進学率、進学者増加は、分子(大卒の就職者数)がバブル期とほとんど変わらないのにもかかわらず、分母(大学卒業者数)が増えたため大卒の就職率(就職者数/卒業者数)が大幅に下がってしまった要因のひとつとなった。2012年(平成24年度)には、全国の法科大学院73校の入学生の統計で、86%に当たる63校で定員を下回るようになった。

予算や設備、人員を各学部ごとに集中させて教育の質を高め、優秀な人材を育成する狙いから、一つの国立大学法人の下で複数の大学の学部を集約して、具体例として大学Aは医学部理工学部、大学Bは法学部経済学部、大学Cは文学部に特化することなどを想定する文部科学省は、都道府県を超えて国立大学の学部の再編を進める方針を2012年(平成24年)に固めた。新しい大学教育制度として、一つの国立大学法人が複数の国立大を運営できるようにして、各大学にある類似する教育内容の学部を再編する計画ができた。

教育方法 [編集]

新しい学校と教育方法と論争 [編集]

学術研究史 [編集]

PISAショック [編集]

2000年(平成12年)以後に、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)と呼ばれる学力調査が行われ、これは、OECDが求める学力を調べる学力調査であった。PISAで求められた主な学力は、知識ではなく、考える力であり、各国の教育界にショックを与え、PISAショックと呼ばれた。日本でも、1990年代後半から、この考えに近い生きる力というものに注目していたが、このショック以後生きる力をさらに強化させている。